管理栄養士の真崎です。
食事に関する知見、今回は「女性の健康におけるグルテンと小麦」について書かれた論文の紹介、第2弾です。
今回は免疫の反応の引き金としての小麦の作用についてお伝えいたします。
「小麦が免疫反応の引き金となっている」とはどういうことでしょうか。
体外のものと接触すると免疫応答が起こりますが、その接触のうち腸で起こるものが大きな役割を果たすことが分かってきています。
Fasanoらによって腸管の表面から体内への物質の移動についての研究がなされています。
その中でゾヌリンという物質が腸上皮細胞どうしの結合をゆるめ、体内への物質の移行を誘導するとされています。
そのゾヌリンの生成を促すのが細菌の異常増殖とグルテンというのです。
ゾヌリンによる外界から体内への物質移動が増えすぎると「リーキーガット」と呼ばれる状態となり、様々な慢性炎症性疾患が引き起こされます。
また、Clementeらは、in vitro(顕微鏡実験)でグルテンの成分の一つであるグリアジンの暴露でゾヌリン濃度が上昇することを発表しました。
また、セリアック病患者では腸上皮から体内への物質移行性が高くなっていること、グルテンによるゾヌリン濃度上昇の持続時間が長くなっていることについても発表しています。
グルテンフリーにすることでゾヌリン生成を減らし、外界から体内への物質移行が減少し、余計な免疫応答が減少するかもしれません。
次回はグルテンフリーダイエットを唯一の治療法とするセリアック病についてお伝えいたします。