管理栄養士の真崎です。
食事に関する知見、今回は「女性の健康におけるグルテンと小麦」について書かれた論文の紹介、第3弾です。
今回はグルテンフリーダイエットが唯一の治療法であるセリアック病についてお伝えいたします。
セリアック病は自己免疫疾患の一つであり、欧米では人口の1~1.5%が罹患しており、その割合は増加しています。
セリアック病の診断は男性より女性の方が1.5~2倍多いのが一般的です。
セリアック病の発症にはHLA-DQ2,8 といった遺伝的要因(日本人はほとんどの方が持っていない)と小麦の摂取量などの環境要因が影響しています。
島根大学の福永らの調査では日本人の健康な健診受診者の有病率0.05%であり、日本人のセリアック病の有病率の低さが示唆されました。
腹部症状のある患者では有病率が上がることから、日本人におけるセリアック病の有病率は欧米に比べて低いが、有症状者の鑑別疾患にセリアック病を含めることが必要と述べられています。
また、環境要因として、戦前に比べ日本人の小麦消費量は約4倍にまで増加してます。
世界的にセリアック病は増加傾向にあり、日本でも小麦の消費量の増加に伴い、今後セリアック病の有病率が増加していく可能性も考えられます。
セリアック病の方がグルテンフリーダイエットを行うと胃腸症状の解消、合併症予防、セリアック病関連疾患のいくつかの症状が改善につながる可能性があります。
そのため、グルテンフリーダイエット実施前の症状がある状態でセリアック病の診断を行います。
グルテンフリーダイエットを厳格に実施することはセリアック病とその合併症に対する唯一の効果的な治療法です。
同時に栄養失調を回避し、サプリメントなどが必要かどうかを判断するための食事のサポートが必須となります。
それはグルテンフリーダイエットを行うと不飽和脂肪酸、砂糖、塩分が多く、たんぱく質、食物繊維、ビタミン類などが少ない食事になりやすいので全体的なバランスが崩れやすくなるからです。
次回は非セリアック病グルテン/小麦不耐症についてです。