糖尿病の原因や症状、治療法について
糖尿病について
糖尿病は糖分が吸収できなくなる病気です。
主にインスリンの作用不足を原因として細胞内に吸収できなくなった糖分が血液中にあふれ、全身に様々な合併症を引き起こします。
症状
初期から手足の痺れなどの神経障害が出ることもありますが、通常は症状はありません。
血糖がだいぶ高くなってくると、のどが渇く、尿が増える、体がだるい、体重が減るなどの症状が出てきます。
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喉がよく乾く
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尿の回数が増える
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体重が減る
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疲れやすくなる
合併症
神経障害、目、腎臓の3大合併症の他、心筋梗塞や脳梗塞、白内障、認知症、皮膚疾患、癌に至るまで様々な疾患の発症リスクが上がります。また、新型コロナウイルスで言われていたように感染症に対しても脆弱になります。
種類
1型糖尿病
免疫が誤って自分の膵臓を攻撃することによりインスリンが出せなくなる病気です。小児に限らず、高齢で発症される方もおられます。
出せなくなったインスリンを注射で補う治療が行われます。加えて、最近はSGLT-2阻害薬という内服薬が併用されることもあります。
2型糖尿病
膵臓が出せるインスリンが限界に達したときに発症する糖尿病です。一般に言われる生活習慣病としての糖尿病がこれにあたり、糖尿病のほとんどがこの2型糖尿病であると言われています。一生のうちに分泌できるインスリンには個人差が大きく、発症のしやすさは人それぞれですが、食べ過ぎや運動不足があるとより早期に使い切ってしまうことになります。
食事・運動療法は皆さんにこころがけていただき、その上で必要であれば治療薬を使用することになります。インスリンやGLP-1といった注射製剤の他、内服薬ではGLP-1、SGLT-2阻害薬、ビグアナイド、チアゾリジン、SU剤、グリニド、DPP-4阻害薬、イメグリミンなど様々なものがあります。個人個人の生活背景、起こしうる病気のリスク、併存疾患などを総合的に考えて薬剤が選択されます。
その他の糖尿病
妊娠中に一時的に血糖値が上がる妊娠糖尿病、ステロイドなど薬剤によるもの、肝臓や膵臓の疾患によるもの、クッシング症候群など血糖値を上げるホルモンの異常分泌によるものなど、上記に分類されない特殊な糖尿病もあります。
最後に
以前は2型糖尿病はだらしない生活をしている我慢ができない人がなる病気だと認識されることもありました。しかし、上で書いたように発症のしやすさは個人差が大きく、他の人より節制していても若いうちに発症してしまう方もおられます。世間のそうした目を気に病む糖尿病患者さんがたくさんおられることが分かり、糖尿病学会で問題視されて糖尿病という病名を見直そうという風潮になっています。
糖尿病はそうした罪悪感を抱えさせる病気でありながら、残念ながら治る病気ではなく、一生付き合っていかなければなりません。その上放置すると様々な合併症が起こり、一旦合併症を引き起こしてしまうと多くの場合は取り返しがつきません。糖尿病をお持ちの方は10年くらい寿命が短くなると以前は言われていました。しかし、今はたくさんの薬が出てきたことや医療技術が進んだこと、健康意識が高まったことなど色々なことが幸いして糖尿病をお持ちの方とそうでない方の寿命は変わらないか、もしくは糖尿病をお持ちの方の方が長生きになったと言われています。
糖尿病患者さんは元気で朗らかな方が多いです。私達はそんな糖尿病の方々が1日でも長く健康に自分らしく生活していけるようお手伝いできればと考えています。治療は早く始めれば始めるほどその後の経過が良くなることが分かっています。何か気にかかることがあればどんなことでもお気軽にご相談ください。